「明日をどこまで計算できるか? ― 『予測する科学』の歴史と可能性」

「明日をどこまで計算できるか? ― 『予測する科学』の歴史と可能性」(デイヴィッド・オレル著 早川書店)を積み上げた書籍から引っ張りだして読んでいます。

どういう内容の書籍かというと、一言で言えば、モデルエラーについての本。
冒頭で、筆者はモデルエラーについて、このように説明しています。

モデルエラーとは、モデル ― 典型的には物理法則にもとづいた一組の方程式 ― と、それが再現すべき実際の系とのあいだの誤差を指す。たとえば、矢の軌道は、その矢が放たれた始点と速度 ― これがすなわちその矢の初期値である ― から物理法則を使ってかなり正確に決定することができる。しかし、モデルに考慮されていない一陣の風が吹くと、矢は予測された軌道からわずかながら逸れる。これがモデルエラーだ。

名言が散りばめられている本なので、いくつかご紹介。

このモデル ― ここではこれを「第一ギリシャ円モデル」と呼ぶことにしよう ― は、驚くほど独創的な功績であり、現在の私たちが物理系をシミュレーションするのに用いる数学モデルの直系の先祖と考えることができる。むろん、それは純粋に理論上のモデルであって、運動の厳密な物理法則というよりは円運動仮説にもとづいていた。だがこのモデルが宇宙モデルとしてきわめて優れていたという事実は、データに適合させられるモデルが、必ずしも現実を正確に反映しているとも限らないということを私たちに痛切に思い起こさせる。

良い観測家となるには、忍耐力、詳細を見逃さぬ眼力、種々の機器に挑戦する意志が欠かせない。ところが理論を構築する能力は、しばしばこれとは正反対の資質を必要とする。すなわち、抽象的な問題に心を傾注する意志、そして現実の世界にとらわれぬ一種の超然とした性質、といったものだ。

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