今日で最終日を迎えた「Windows10への無料アップグレード」をするつもりがないあなたへ


2016年7月29日でWindows10への無料アップグレードが終わります

今日の夜の23:59まで、Windows10への無料アップグレードが可能です。
Windows7やWindows8、Windows8.1などのOSをお使いの方は、今日中にアップグレードを終える事をお勧めします。

それでも、Windows10へアップグレードをするつもりが全くない、あなたが知るべき事実

  • 「そんなのは知ってる、使い勝手が変わるのが嫌だから、Windows7を使い続ける」
  • 「Windows10にすると重くなるからアップグレードしない」 
  • 「Windows10にアップグレードすると使えなくなるアプリがある」
  • 「Windows10は失敗作だ」
色々とWindows10にアップグレードしない理由はおありかと思います。

そんなあなたに知っておいて欲しい事があります。
それは、「時代は変わった」という事です。

もう、OSを「所有」する時代ではなくなったのです。
OSを「利用」する時代に、全てのOSは移行したのです。

そもそも、私達はOSを「所有」してはいない

「OSを『所有』する時代は終わった」と上述しておいて、その事自体を否定する見出しで申し訳ないです。

私達は、実は、OSに対する所有権を、そもそも持っていません。
私達がお金を出して買ったのは、OSを利用する権利、「使用許諾権」(もしくは「利用許諾権」とも書きます)です。
OSは、著作権法で保護されるもので、OSの販売は、無形物としてのソフトウェアの使用権を認めるという契約になっています。

私達がOSを「所有」していると感じるのは、契約書上は、「使用許諾権」であっても、お金を払っているので、それが自動的に「所有」という感覚を生み出しているのだと思います。

お金を払って所有できないものは、各種サービスがありますが、それとは違って、OSは常に自分のPCの中に存在し、常に一緒です。PC自体は、私達の所有物ですから、その中に入っているOSに対して、所有しているという感覚を持つのは自然です。

IT業界で進む「所有」から「利用」への変化

OSが「所有」から「利用」へと変化した流れを理解するには、IT業界でこの10年に起こった変化を理解する必要があります。
これは、OSだけに起こった事ではなく、IT業界自体を大きく変えた、この10年の大きな流れの中の一つなのです。

皆さん、ご存じの通り、今やITシステムは、サーバを買ってデータセンターや社内に置く時代から、クラウド上の仮想マシンに展開して、時間単位や月額単位で利用する時代へと変わりました。

その背景には、CAPEX(Capital Expenditure:資本的支出)からOPEX(Operating Expense: 運用経費)へと変えられるという、経理上の利点がありました。
一度、サーバを買ったら、5年かけて減価償却しなくてはいけないのです。
そして、それは「資産」として計上されます。

しかし、クラウドコンピューティングの登場により、サーバは「買うもの」から「利用するもの」へと変わり、その利用代金は、資産から経費へと変わったのです。これが節税の観点で、どれだけ大きな意味があるかは、経営者の方ならよくお分かりでしょう。

そして、開発の現場レベルでは、開発のためのインフラを簡単に即座に準備できるというメリットがありました。現在、日本で大きなシェアを占めているAWS(Amazon Web Services)で、仮想マシンのサーバを立ち上げるのに、見積書も要らなければ、発注書も要りません。アカウントを登録して、クレジットカードを登録し、Webの画面上でいくつかの操作を行えば、20分もあれば、サーバが立ち上がります。

そして、その料金は、時間単位で課金され、とても一番安いもので1時間1円と安価なのです!
サーバとして買うと20万円ぐらいするものが、1時間20円ぐらいで使えます。

そして、必要がなくなれば、すぐに利用を停止して、使った分だけ払えば良いのです。
これがどれだけ、事業のリスクを軽減したか、ビジネスセンスが良ければ、すぐにお分かり頂けると思います。

新規に事業を行う場合に、一番のリスクは、その事業が上手く行かなかった時に、あれこれ買ったサーバやネットワーク機器への投資が無駄になる事です。

そして、その投資は、ある程度の負荷を予想して、高価なサーバを買う必要がありました。その事業が上手く行くかどうか、どのくらいのユーザがアクセスするかどうか分からないのに、事業が上手くいったらと仮定して、数千万円を投資しなくてはいけないのです!

クラウドコンピューティングは、サーバのアップグレードやスケールアウト(台数を増やす事)は、自由にいつでもできます。
つまり、事業が上手く行くまでは、一番安いものを使えば良いわけで、事業が上手くいってアクセス数が増大したら、高いものを使えば良いのです。
何と合理的でしょう!

もうサーバは買うものではなくなり、利用代金を払うものとなり、それは経費で落とせるのです。

モノ売りからサービスへシフトするIT業界

このクラウドコンピューティングの普及は、IT業界を大きく様変わりさせました。
サーバなどの「モノ」を売る事から、クラウドコンピューティングやWebブラウザで使うアプリケーションなどの「サービス」を売る時代へと変わったのです。

そんな中で、立ち位置を問われたのがOSでした。
1時間1円で利用される仮想マシンのOSの代金は、どのように支払えば良いのでしょうか?
そして、その使用許諾権は、どのように管理されれば良いのでしょうか?
この事は、OSを販売する会社にとっては、大きな課題となりました。
この事が、オープンソースのOS、Linuxを更に一段と普及させる要因となりました。

無料で使えるLinuxであれば、そのような悩みから解放されます。
そして、もう2005年ぐらいの時点で、Linuxは、サーバ用OSとして、世界のマーケットシェアの50%を超えていました。
実績として申し分ない、サーバ用OSだったのです。

有料のOSを販売する会社は、この事態に右往左往しつつ、状況の変化に対応しようと数年もがくことになります。

いち早くサービスへ移行したApple

このような状況の中、OSを無料化し、サービスへと移行したのがAppleでした。

AppleのMacやMacBookに搭載されていたMac OS Xは、10.5までは14,800円でしたが、2009年の10.6 Snow Leopardでは3,300円と大幅に値下げされ、2011年の10.7 Lionでは2,600円、2012年の10.8 Mountain Lionでは1,700円、2013年の10.9 Mavericksでは、ついに無料となりました。

これは、iPhoneに搭載されているiOSでも同様でした。iOSの3.xまではアップグレードが有料だったものが、2010年の4.0以降は無料です。

Appleの場合、ハードウェアとOSと一緒にして販売しているため、OSを無料にしやすかったのです。OSを無料にしても、ハードウェアの代金で賄えます。
何より、Appleは、AppStoreやiTune Storeが、アプリや楽曲などの販売手数料が収益の主軸となっていました。

Appleは、より素晴らしいユーザ体験を提供することを社是としており、それを実現するためには、OSを改善し続けて提供することが欠かせません。それが有料でなければ利用できないというのでは、ユーザの満足度を向上させることはできません。

Appleは、ビジネスモデル上、積極的にOSを無料化する事にしたわけです。

もがくMicrosoft

Linux、MacOSと無料OSが市場で闊歩する中で、Microsoftは、もがき苦しむ事になります。
何といっても、WindowsはデスクトップOSとしては、世界市場で8割以上のシェアを持つOSです。
この販売代金を手放すのは、そうそう簡単にできるものではありません。
そして、Microsoftは、OSだけを販売しており、ハードウェアは販売していませんでした。
ですから、OSを無料にするメリットがないのです。
そして、Microsoftの売上の92%は、間接販売、つまりOEMやパートナー経由での販売です。

このように業界の動きを見ると、この数年のMicrosoftの施策は、ライセンス販売モデルから、サービス販売モデルへの転換であることが見ていて分かります。
  • Office 365 … Officeのサービス化
  • Microsoft Azure … クラウドコンピューティングへの対応
  • Dynamics CRM … クラウドサービスの収益・付加価値の確立
  • Surface … AppleのようなハードウェアとOSの一体販売
  • Microsoft Store … AppStoreやiTune Storeのようなコンテンツ販売
MicrosoftがWindowsのアップグレードを無料にしたのも、かつてAppleがOSの無料化をアップグレードから始めたのを踏襲していることが分かります。

OSが「所有」から「利用」へ変わらざるを得ない背景

上述したとおり、市場の変化に対応するために、OSの代金が無料に変化しつつあるのは、IT業界のビジネスモデルがサービスへと移行しているためだと説明してきました。

もう一つ、重要な要因があります。
それは、「変化への対応」です。

インターネットがどんどん普及し、インターネットの利用者が増えることにより、従来よりも、世界のどこかで起きた事の影響が、より広く、より素早く、世界に波及するようになりました。

変化が変化を呼び起こし、更なる変化を呼び起こします。

今や、それを阻害する要因は、政治体制や言語ぐらいしかありません。
言語については、自動翻訳の完成度が上がるほどに、その障壁は下がるでしょう。
変化は加速していくのです。

市場の変化の加速に対応するためには、OSも変化に対応しなくてはいけません。
そこで、従来よりも短いサイクルで、OSのアップグレードが行われていく事になります。
そして、私達も、新しいOSに対応し続けていく必要があります。

その一方で、世界の軍事的脅威や犯罪行為は、サイバー空間上へ移行したという事情が絡みます。

軍事的には、軍隊を動かすよりも、安価に安全に、サイバー攻撃を仕掛ける方が効率よく敵対国にダメージを与える事が可能です。そして、軍隊を動かすよりも、海外諸国から非難されることもありません。

犯罪行為としては、物理的な犯罪行為より捕まる確率が低く、そして狙える対象が数多あり、横展開や応用が効くので「稼げる」市場なのです。

そういったサイバー空間での攻撃の矢面に真っ先に立つのは、OSなのです。
重箱の隅をつつくようなセキュリティホールを探す攻撃から、対象者を明確に定めて、相手を信用させて情報を抜き取る攻撃まで、攻撃の手段は多様化し、高度に発展しています。
それに対応するためには、OSも日々、変化し続けなければいけないのです。

古いOSを使い続けるということは、業界の防御機構から外れて、一人でその矢面に立つ覚悟が必要だということを知っておいた方がいいのです。

変化に抵抗するのではなく、変化に適応する

It isn't the strongest of the species that survive, nor the most intelligent but the ones most responsive to change.
最も強い者ではなく、最も賢い者でもない、変化に対応できる者が生き残る。
― チャールズ・ダーウィン
このダーウィンの名言を持ち出すまでもなく、どんどん生き辛い世の中になってきていて、それを生き抜いて渡り歩いていくためには、私達は変化に対応しなくてはいけません。

変化に抵抗するのではなく、変化に適応する。
今日、これからWindows10にアップグレードすることは、その最初の一歩かもしれませんよ。

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